海中の藻は、沿岸の浅い場所で太陽光線が届く場所に繁茂し、海中生物の生活の場と酸素を提供し、さらに水質を浄化する役目を果たしていると考えられています。このため豊かな藻場は海中の森と比喩されます。
ところが近年、各地で藻が衰退し、保全回復作業が必要になっています。この状態を磯焼けと呼びます。
磯焼けの原因は、海水の温暖化、埋め立て、ウニや巻貝による藻の食害などによります。藻の衰退は生態系を大きく変化させます。
これは近海の漁獲高にも影響を及ぼします。
磯焼け対策は、ウニを除去していくこと、また藻の胞子を袋状の網に付着させたスポアバックを海底に設置していくことです。
いずれも手作業で地道に行う必要があるので、磯焼け対策を効率的に行う手法の開発が急がれます。
日本の沿岸地域では、磯焼け対策をしなくてはならない地域が多いです。磯焼けに最も効果があると言われているのがバイテクソイル工法で、化学肥料を使用せずに、腐植土を活用し微生物と植物を共存させて藻場再生を図ることが目的です。
バイテクソイルに含まれているフルボ酸は、海中でフルボ酸鉄に化学変化し、磯焼けを引き起こす石炭藻の成長をくい止める効果があります。
日本の多くの沿岸地域で、バイテクソイルの工法を採用し磯焼けの対策を行っています。
磯焼け対策を行うことで、藻場の再生をすることが可能なので、とても注目をされている対策です。
海水温度上昇など環境変化に起因するウニの大量発生で、海藻が食べ尽くされてしまう磯焼け現象は、未だ有効な解決策が見つからず、水産庁による対策事業の整備が推進されています。
現在有効とされている磯焼け対策技術は、ウニの侵入を防ぐ海中フェンスの開発、海中ブロック設置による食害の抑制、人工腐葉土による海藻定着の促進などがあります。
いずれの磯焼け対策も、周辺環境の変化状況を分析したうえで検討されており、効果を確認するためには長期間のモニタリングが必要となります。
各地のモニタリング結果は水産庁で検証され、水産環境整備に役立てられています。
ちょっとした磯焼けだったとしても、広範囲に広がる恐れもありますので、しっかりと対応した方がいいでしょう。本来であれば、大きな磯焼け対策方法を使いたいものですが、小さいところに大掛かりな対策方法をとっても、コストの面で難しい部分があります。
より安定させるような状況を作るためにも、小さいところでは小さい方法を、大掛かりになってきた場合には業者の人と協力して磯焼け対策を行っていきます。
小さいところから行っていけば、拡散する状況を減らせるようになりますので、より安定させられるかもしれません。初期の段階で食い止めるのはいい方法です。
磯焼け問題は世界各国で喫緊の課題として取り上げられていますが、日本も決して例外ではありません。実際に漁業への影響が出ています。
磯焼けが見られた翌年に磯焼け対策を速やかに行った結果、藻場回復が見られるケースもあれば、なかなか結果が出ない藻場などもあり、経過観察が必要です。
磯焼け問題は問題の原因追及ができていない為、どのような対策をすれば良いのかはっきりとわかっていません。
日本の政府や企業が一体となり、問題解決に向けプロジェクトチームを組んで磯焼け対策をしているのが現状で、1日でも早く原因追及が待たれています。
ダイバーの資格を持っている人は、自由に海に潜る事ができます。そのため、海の中で活動を行う必要がある磯焼け対策については、ダイバーが大活躍する事もあります。
また、磯焼け対策の活動を沖で行う場合には船が必要になる事もあります。砂漠化問題の様に陸で作業をする事ができないという点において、磯焼け対策は難易度が高いと言えるでしょう。
しかし、磯焼け対策を避けていると、環境の悪化は更に進んでしまいますので、生態系が乱れてしまう前に磯焼け対策に取り組む必要があるでしょう。
ダイバーの資格を持っている人は、この活動において貢献できるでしょう。ボランティアを必要としている団体もあります。